水道で遊ぶ

「爺ちゃん 水道のシュッとするの しようよ」
幼稚園からの帰りに我が家に寄った孫が開口一番、こう言った。
「水道のシュッとするの?」
娘は怪訝そうな顔をしたが、大丈夫、爺ちゃんにはちゃんと分かっているのだ。
先日から、高圧洗浄器を使うたびにみんなが大きな関心を寄せて話題にするのに
残念ながらそのたびに、孫はその場に居合わせなかった。
どんなものなのか、そのときからずっと気になっていたはずなのだ。

じゃーん これを見よ。

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必ず君がやりたがると思って、まだ汚れのついた壁を一部残していたのだ。

さあ、私の命令に従うのだ。
「水道のホースを引っ張ってきて」
「はい」
「その電気コードを持ってきて」
「はい」
「ドライバーだよ。ドライバー」
「はい」
なんと素直なこと。
男の子だねえ、まだ未知の遊びにワクワクしているのがよく伝わってくる。

さあ 作業開始だ。

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いいぞ。
その調子だ。
そんなに力まなくてもいいぞ。
なんだ、ハアハア言ってるじゃないか。

「爺ちゃんと替わろうか」
「いやだ」

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至福の時間だったね。

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「こんなにきれいになったぞ」
「うん」
どうしたことだ、きょうは後始末まで手伝ってくれたぞ。
爺ちゃんの本当の後始末、
作業後のビールを手伝ってくれるようになるのは、さていつのことか。

母の日

たまたま休日が妻と重なった昨日、
入院してちょうど一週間になる母を病院に見舞った。
妻が、庭に咲いているマーガレットと、買って来たカーネーションで
小さなかわいい花束を作って持っていった。
「あらまあ きれいな菊だこと」
「やっぱり花があるといいねえ」
一日おきに病院には来ているのだが、
花なんてそういえば思いつきもしなかった。

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それから妻は私に隠すように小さな容器を母に渡した。
「何?これ」
「ラッキョウよ。ラッキョウ」 妻が小さな声で答える。
そういえば入院前に母が「ラッキョウが食べたい」と私に言ったことがあったので
それを妻に伝えたことがあった。
どうやら妻は、そのことを覚えていてくれたらしい。
母が嬉しそうに、ひとつを口にいれた。
「おいしい」と満足そうに笑う。
ラッキョウの匂いが病室一面に広がった。
私はその匂いが大の苦手なので、そっと病室を抜け出した。

「月曜日、カメラがありますので、それが済んでから
お母様の症状、これからの診療法について説明いたします」

大事無いことを願うばかりだ。

家に帰り、母の部屋を覗くと、
いつものように、あるじのいなくなったベッドの上に
クロが寂しそうに寝ていた。
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アマリリス

五月の初旬。
おそらくこの島の一年の中では、もっとも過ごしやすい季節のはず。
昼間はもう初夏の日差し、木陰の微風がありがたいし
朝夕はまだ若干の肌寒さが、身体に心地よい緊張をもたらしてくれる。
家の庭の花たちにも、季節の移ろいが訪れ始めたよう。

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アマリリス。
白いアマリリスは我が家では初めてじゃないか。
アマリリスはその花が余りに大きいので、あまり私の好みではないのだが、
この白い色は気に入っている。

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ありふれたピンクと白のアマリリス。
なんか場末のピンクキャバレーのような安っぽい感じ。
といえば、あまりにアマリリスに失礼か。
せっかく一生懸命に咲いているのにね。

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これはまた真っ赤なアマリリス。
我が家だけでも三種類のアマリリスがあるから
実際はもっといろいろな色があるのだろうな。

ラリラリラリラ 調べはアマリリス ♪♪
という唱歌を思い出した。
確か外国の曲だったと思うが
そういえば案外好きな曲だったな。

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最近気に入っている花。
名前は知らない。何度か妻に教えてもらうのだが、その都度忘れてしまう。

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これはバラだな。
バラはこの島では、季節を問わず咲いているような気がする。

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百合。
地元では「てっぽう百合」と呼んでいる。
この季節、この島はこの野生の花でいっぱいになる。

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これは昨日、静岡の娘から送ってきたアジサイ。
母の日のプレゼントだという。
アジサイにしては小粒なのは、品種改良のせい。
もう少し楽しんで、梅雨の季節になったら直植えしよう。

アジサイの花言葉は「移り気」「高慢」「冷淡」とある。

美しいものは、それぐらい生意気な方がいい。


磯遊び

恒例の、会社主催の磯遊びに出かけた。
天気は曇り。ついている。こんな日にカンカン照りではたまらないからね。
めざす海岸に着いたのは午前九時半。
最大の干潮時は午後二時半だという。まだだいぶ時間がある。
さっそく腹ごしらえ、BBQとあいなった。
こんなときはおばちゃんたちに任せることだ。

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BBQ以外にもおばちゃんたちは、さまざまな料理を持ってきている。
私は海に入る前にもうすっかりビールで酔っ払ってしまったよ。

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そろそろ海にはいりますか。
やあ 本当に久しぶりの海だ。
やっぱり気持ちいいね。

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ここでもおばちゃんたちは元気だ。
さっそく岩にへばりついてさまざまに物色し始めた。

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まったくやる気のない私はもっぱら水の中を眺めて遊ぶ。
それにしても、きれいだねえ。

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こんな海辺に、こんなきれいな花が咲いていたよ。

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ここにも小さな白い花。

潮が満ちたらこの花たちはどうなるのかな。

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再び岡にあがって呑んでいたら、どこかのおっさんが声をかけてきた。
「どうだい、煮て食わんかね」
見るとどでかいウツボ。ここでは「キラカ」と呼ぶ。
くれると言う。
突然そいつが体をくねらし始めた。
こんなのに噛み付かれたら、指などあっというまになくなってしまうだろう。
「いえいえ 結構です」と丁寧にお断りした。

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しかし、このおじさん
ほかにもさまざまな獲物をぶらさげていたから
きっとこの道の達人なんだろうな。
そういえば後姿にもなんとなく風格みたいなものがあるね。

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さあ、そろそろ帰りますか。

剪定

こどもの日。
空はすっかり晴れ渡った。
孫たちが遊びに来るかもと思っていたが、何か予定があるとのこと。
いい機会だ。半年近く手をいれていない紅カナメの選定をすることにした。

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道具はこれだけ。
脚立と剪定鋏。あとは何も使わない。「水平」など、自分の勘だけで測る。

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いつも座るテーブルのある付近。カナメの背がだいぶ伸びているのが分かる。

senntei usiro 1

選定後。

senntei mae 2

ここも。

senntei usiro 2

選定後。
まあまあの出来かな。
「さすが。もうベテランの域ね。」
横から妻の茶々の手がはいる。

beer.jpg

すっかり疲れ果てた。
一日の仕上げはビールで。
後ろに見える赤い炎は、選定した枝葉を燃やしているところ。
地球温暖化対策には逆行するようだが、
この煙が、いい「蚊遣り」になるのだ。

onedari chibi

チビが私のツマミの枝豆をくれと寄ってきた。
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